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2008生態学的学習論演習

1 名前:有元典文@管理者 ★:2008/04/08 09:54 ID:???

「生態学的学習論演習」に関するスレッドです。質問、コメント、議論歓迎。

2006年度はここ http://www.psy.edhs.ynu.ac.jp/bbs/test/read.cgi/arimoto/1144652417/

2004年度はここ http://www.psy.edhs.ynu.ac.jp/bbs/test/read.cgi/arimoto/1081824943/

2 名前:岡崎ちひろ:2008/04/18 19:12 ID:qm2ce5R2

第1回(4/15)講義録
一般に心理学では、学習は「経験による比較的永続的な行動の変容」と定義される。
つまり、生まれたときからできたこと、偶然できたこと、変化していないことは学習とみなされない。
初期状態をX、一定期間時間が経過した状態をYとするとY-Xが学習である。

学習心理学では、実験を通して、まず何らかのできない状態を観測し、
次に、それが出来るようになった状態を観測することで、「学習」を可視化してきた。
つまり「学習」はその時の実験道具や条件設定など、科学的な道具立てによって構成された概念といえる。

生態学的学習論の観点では、学習を環境(上記の例で言えば、実験道具や条件など)
と切り離すことのできない社会文化的なものとして扱う。

のちのちは、生態学的学習ではなく、学習といえば生態学的な意味を含むものになればいい。

今後は各自、「学習の過程、または成果」と思える現象をビデオで持ち込み、議論していく。
133.34.73.130 , okabe01.edhs.ynu.ac.jp ,


3 名前:有元@管理者 ★:2008/04/19 09:00 ID:???

簡にして要を得た説明ありがとう。まさに。

4 名前:會津 律治:2008/04/25 03:10 ID:qaPsQGks

第2回(4/22)講義録
学習とは何かについての議論を行った。
なぜ学ぶのか → 学びの可視化 → 誰かが設定した能力 → その誰かに見せる学習
→ 達成度証明ゲーム?

徒弟制度:仕事の中で教える事を決めてゆく。一対一または少人数。
学  校:事前に決め、規則正しく順番に教えてゆく。多人数、
ランカスター方式に代表される。

近年は、実習が大事と言われ、教育実習を多く体験させる。
実践と学校の違いは何か、なぜ現場での実践が流行るか?

ブラジルの心理学者キャラハ(Carraher,T.N)やアメリカの心理学者サックス(Saxe,G)の行った研究:
ブラジルの貧困層における調査で、キャンディー売りの子どもたちの行う複雑な計算処理は、
学校で教師によって教えられたのではなく、日々のキャンディー売りの経験を通して自ら学んだものである
『人はいかに学ぶか』 稲垣・波多野, (1989) より。

学校の成果は実践に転移(transfer)しない?などについての議論でした。

133.34.73.130 , okabe01.edhs.ynu.ac.jp ,


5 名前:有元@管理者 ★:2008/04/25 10:17 ID:???

>>4 會津さん、ありがとうございます。
キャラハの紹介どうも。
学校の教育のカリキュラムに、特に科学的根拠はないということも言いました。
経験則でやってるだけと。その経験則に学習心理学などが裏付けを与えてる
ゲームが学校です。私は学校を、ちゃんと転移するための知識技能を
伝える場所にしたいのです。

6 名前:塩村 光正:2008/05/26 19:40 ID:La885TYs

第3回(5/13)講義録
スピノザについて
汎神論…全ては神のもの。主体性の誤認。外界(コントロール)論。

⇔デカルト
  心身二元論。中枢(コントロール)論。
(心理学はここから発展する)

道具を開発するとき  ⇒  道具を使用するとき(歯ブラシの例)
(↑大脳使用)        (↑大脳不使用)
パソコンや計算機などの技術が発展するなら、基礎的な学習は必要ないのでは?
基礎的なものの必要性は?⇒システムダウンした時のために。

アスリートの内省(ヤクルト青木選手のバッティングの例)
自分の中のセンサーとモーター系の事情にはアクセスできない。
大脳ではなく中脳を使用している。
→固定回路が出来上がっている。(そうなるまで訓練する)

スピノザの理論をどこで使えるか?
全てをこれで説明するには無理があるが、ピッチャーマウンドであったり、
ある特定の場所において説明できれば良いな、というお話でした。

133.34.235.37 , pc-k007.ipcf.ynu.ac.jp ,


7 名前:有元@管理者 ★:2008/05/27 05:17 ID:???

>>6 塩村さん、ありがとう。
主体性の誤認、というのが私のこころ(!?)をとらえて離しません。
だとしたら、心理学は誤認された主体性の記述ということになる。
また議論しましょう。

8 名前:有元@管理者 ★:2008/05/28 07:57 ID:???

>>6
> ピッチャーマウンド
ってなんのことでしたっけ?思い出せない。

9 名前:白石綾子:2008/06/03 09:15 ID:UXUsXpus

第4回(5/27)講義録
「ビデオをみて気がついたこと」本番の場面での学習とは

・ビデオ内容
 シェフがコック見習いに客に出すメニューを作るように伝える。
 コック見習いが作る横で、シェフはピザの生地を用意しながら3回手を出し、
料理を完成し、コック見習いから、料理をウエィターに渡す。


議論から

・出来るところを任せ、シェフがポイントをに手を出し完成する。
 看護の場面でも同様のことを行う。
 現場では、早く一人前にさせたい。生徒と教師の関係が固定している学校現場と異なる。

・コック見習いはシェフを見ない。味見をしていない。
 味見をしないのは気になる。

・コミュニケーションが少ない。
 身体にしみこませる感覚が強いのではないか。

・失敗は許されない。
 見習いも主体者である。
 失敗は店の信用に関わる。

・学習場面の構成 指導者の学習デザインは、失敗のないデザインである。

・レストランを学習場面とする特徴
  リアルな実践であること
  関係の多様性「学習者−指導者」「同僚」
  課題の即興性
  個人・能力の不可視性
  場面をデザインすること
   発達の最近接領域
    自分よりちょっと手助けがあると出来ることをさせる
    1人でできる能力の範囲と、ピアすることでできる能力をみきわめる

・実践者にすることが学校教育の課題である。

・学習とは「経験による比較的永続的な行動の変化」→個人が変化すること
  学習の効果は測定することで調べる。

218.41.60.87 , p293c57.tokynt01.ap.so-net.ne.jp ,


10 名前:有元典文@管理者 ★:2008/06/03 09:18 ID:???

>>9 白石さんごくろうさま。
こういう生々しい学習の場面のことを心理学は十分にひろいあげてこなかった。
そのこと自体も興味深いことですけど。
心理的事象の内で、観察しやすく記述しやすいものを選んでいたのだろうか、と!

11 名前:有元典文@管理者 ★:2008/06/03 19:26 ID:???

ZPDの原典での表現です。

the distance between the actual developmental level as determined by
independent problem solving and the level of potential development
as determined through problem solving under adult guidance, or in
collaboration with more capable peers (Vygotsky, 1978, p. 86)

Wikiに項目が立っていました。
http://en.wikipedia.org/wiki/Zone_of_proximal_development

12 名前:酒井:2008/06/05 23:02 ID:6+kOKEv2

ヴィゴツキーの「発達を先導する学習」unity learning-leaning-development)
の構想は、「発達の最近接領域」(ZPD)の概念に具体化されており、その定義が、
上記に記されたものだと思います。
私は、この部分を「それは、1人で行う問題解決によって決定される現実の発達水準と、
大人の指導のもとで、あるいはより有能な仲間との協働によって行う問題解決を通して
決定される潜在的な発達水準との間の隔たりである」と、訳しました。
簡単に言うと、この概念が照らし出すのは、心理学の伝統的な枠組みである発達の段階論や、
測定論等の個人主義的な能力の発達ではなく、人間の発達を社会的・協働的な創造の課程とする
見方であるということでしょうか?
220.150.87.160 , 160.87.150.220.ap.yournet.ne.jp ,


13 名前:酒井:2008/06/05 23:08 ID:6+kOKEv2

上記の書きこみで誤字がありましたので、訂正します。
“人間の発達を社会的・協働的な創造の課程とする ・・・”の「課程」を、
「過程」に直して、読んでください。

220.150.87.160 , 160.87.150.220.ap.yournet.ne.jp ,


14 名前:有元典文@管理者 ★:2008/06/10 09:42 ID:???

>>12 まったくその通りです。

the actual developmental level as determined by
independent problem solving

という節は、発達レベルを操作的に定義しているとも言えると思います。
determineは「測定する」という動詞ですので、「発達レベルは個々の
問題解決によって測定されている」、と操作的に定義しているのではないでしょうか。
そして社会文化的に再定義しているのが

as determined through problem solving under adult guidance, or in
collaboration with more capable peers

のところ。

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